九州・福岡の欠陥住宅の解決に取り組む有志の弁護士・建築士の団体です

ご相談申込

お知らせ

相談例・解決例

HOME > 欠陥住宅コラム > ~損壊建物を解体撤去する前に~(前編)

2016年04月22日更新 欠陥住宅コラム

~損壊建物を解体撤去する前に~(前編)

【あなたの家は建築基準関係法令に適合した建物ですか】

このたびの地震により被災された皆様に、謹んで震災のお見舞いを申し上げます。
家屋・建物が損壊した方へ、解体・撤去前に、ちょっと待って!
気を付けていただきたいことがあります。
以下の点、参考になれば幸いです。

1 建物の倒壊・損壊の原因を証拠に残しておくこと

 今回の震災で倒壊した建物の多くについて既存不適格建物(注)と報道されています。

(注)既存不適格建物・・・
 昭和56年に建築基準法が改正されて耐震基準が強化されており、「既存不適格建物」とはこの改正前の建物をいいます。

 他方で、既に下記の建築雑誌のネット記事にもありますように、最近建築した建物に設計ミスや手抜き工事があり、それが原因で建物が損壊したものもあるのではないかという指摘もされています。

築浅住宅が地震で倒壊、金物不備や増築が要因か|日経アーキテクチュア
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/bldnews/15/041500569/041700019/

 欠陥のない建物が地震で倒壊したのであれば、これは完全な天災ですが、現実には、必ずしも天災とはいえない、人災の側面もあるようです。
 建築基準法に違反した建築がなされ、新築当時から万一大きな地震が来たら倒壊する危険をはらんでいて、今回の震災で顕在化したという可能性があるのです。

 ところで、阪神淡路大震災や東日本大震災のときも、倒壊した建物の解体・撤去が急ピッチで進められました。
 しかし、解体前に写真や図面などで建物の損壊状況実情を残しておかないと、あとになってから倒壊の原因究明ができず、場合によっては業者の責任追及ができたはずの建物について責任追及が出来なくなってしまいます。
 このために泣き寝入りした被害者が多数いらっしゃいます。

 できるかぎり損壊した建物を一定期間保存しておくことが肝要ですが、急いで解体・撤去せざるを得ない事情がある場合も、あると思います。
 ついては、解体・撤去前に、最低限、次のような記録化をしておきましょう。

 まずは、被災建物の図面、請負契約書、売買契約書、建築確認申請書などを探し、大切に保管しておきましょう。
 そして、被災建物の現状を写真やビデオで撮影したり、見取図を書き留めるなどして、後日、被災状況が再現できるよう工夫することが大切です。

 なお、罹災証明を取得するため、あるいは保険会社に提出するために、既に被災状況の写真を撮影された方もいらっしゃると思います。
 しかし、後日の原因究明のためには、全体的な被災状況の写真だけでは不十分です。
 建物の種類によって、原因究明のためのポイントは異なっているのです。

 なお、~損壊建物を解体撤去する前に~(後編)では、建物の種類ごとに重要なポイントを解説しましたので、専門的な内容ですが、関心のある方は併せてお読みいただければと思います。

2 アスベスト対策

 日本でアスベストが使用禁止となったのは平成18年のことですので、それ以前に建てられた建物にはアスベストが使われている可能性があります。
 アスベストは、吸い込んでから数十年後の健康被害を引き起こすといわれ、特に若い人や子どもをアスベスト被害から守る必要があります。
 東日本大震災でも、解体工事の際にアスベストが飛散して、大変な問題となりました。
 家屋・建物の解体・撤去工事にあたっては、しっかりとアスベスト対策を取っていただく必要があります。

 アスベスト対策については以下のサイトが参考になりそうです。

東日本大震災で壊れた建物のアスベストに注意しましょう。
http://plaza.umin.ac.jp/~FREAKIDS/shinsai.html

3 建築士にご相談を ポイントを外さず記録化するために

 建築に詳しくない方が、倒壊・損壊した建物をしっかり見て、重要なポイントを外さずに記録化するのは、容易なことではありません。
 できれば、これまで欠陥住宅の調査に携わってきた建築士が、これまでの経験を踏まえて、写真を撮り、図面に残すことが望ましいのです。
 欠陥住宅ふくおかネットには、欠陥住宅の調査に長年携わり、経験豊富な建築士が多数在籍しています。
 ご相談をご希望の方は、通常のご相談の手順に沿って、FAXにてご相談ください。

なお、「熊本地震による被災建物・緊急電話相談会」は終了しました。

※ 次回の被災建物の現地調査は未定です。
※ 応急的な記録化を目的とした目視による簡易なものです。
  実際に欠陥を指摘して損害賠償請求等の交渉等を行うためには、
  別途、有料の調査が必要になることがあります。

(なお、熊本震災に関する一般的な相談は、以下をご利用ください。
 熊本県弁護士会が実施している電話による相談・情報提供
 電話番号:0120-587-858(フリーダイヤル)
 午前10時~午後4時(土日については6月末まで)
 相談が殺到して電話が繋がりにくいことがあるそうです
 こちらの詳細は熊本県弁護士会ウェブサイト等でご確認ください。)

~損壊建物を解体撤去する前に~(後編)に続きます